転職ジャンキーインハウスによるエージェント総評
この記事は、法務Advent Calendar 2023の10日目のエントリーです。
keibunibuさんからバトンを受け取りました。
はじめに
私は現在いわゆるJTCの法務部でインハウスとして働いています。年次のわりに転職回数が多く(事務所も企業も複数経験しています)、また、当面転職しないつもりなので、これまで得た情報が新鮮なうちにシェアしたいと思い、思い切って筆を取りました。
あと、自分に合わない職場に入ってしまって結構しんどい思いをした経験もあり、同じような境遇の若い人のお役に立てればいいなという気持ちもあります。
※以下色々紹介しますが、誰からも利益は受けていないですし、アフィリンクも一切ないので安心してください。
自己紹介と本稿の前提
私は法学部卒ロー経由で司法試験に受かった、留学経験や四大事務所出身等の特記事項もない凡スぺアラサー人間です。自分の性格を踏まえると、今はベンチャーや外資よりJTCのほうがしっくりくると思っています。
そのため本稿は、30代前半くらいまででインハウスとしてJTCに転職したい人の目線で執筆しております。
ベンチャー・外資系企業への転職、留学帰りの方や管理職ポストへの転職については全く知見がないので、本稿では触れません。
エージェント総評
以下、私がこれまで利用したことのあるエージェントの悪口もとい忌憚のない感想です。どれも1年半~半年くらい前に利用した感想なので、今は変わっているところもあるかもしれません。
色々書いていますが、正直、30代前半くらいまで・弁護士資格か法務経験があれば、今の市況を踏まえると、よっぽどのことがない限り転職活動にめちゃくちゃ苦労することはないはずなので、どのエージェントを使ってもいいと思います(⑤⑥のエージェントはちょっと人を選ぶかもですが)。最初はエージェントに相談したほうがいいですが、慣れてきたら会社に直接応募してもいいです。
①MS Japan
【総評】
全体的に無難な印象。ハードルがそんなに高くない求人が多いので、企業法務経験がない・超短期離職等すねにやや傷を抱えているけど大きい会社のインハウスになりたい人におすすめかも。
【感想】
法務転職界隈ではかなり有名なエージェントかと思います。ここ経由で何回か転職活動をしましたが、コンサルタントも大きな当たりはずれがなく、一般の求人サイトに載っていないような情報もちゃんと持っています。面接対策等のサポートもしっかりしてくれます。自社の求人検索サイトも持っているので、コンサルタントから直接送られてくる求人以外の求人も見ることができます。求人件数も多いです。
目立った悪いところはないのですが、自社の求人サイトが死ぬほど重いのはいい加減どうにかしてほしいです。山本太郎の牛歩と張るレベル。空き時間にサクッとスマホで求人検索ができず、地味にストレスです。あと、ここは各企業を担当しているコンサルタント(not求職者についているコンサルタント)が求職者に直接求人票を送ってくるので、とりあえずで送られてくる求人票の数がめちゃくちゃ多くて、転職に慣れてない人は管理が大変かもしれません。
②C&Rリーガルエージェンシー
【総評】
年収高めのJTCが多いので、ある程度年収を維持したい人におすすめかも。
【感想】
こちらもテイストは①とほぼ同じです。①同様コンサルタントも大きな当たりはずれがなく、サポートもしっかりしています。求人件数も①と同じくらいです(なお、弁護士向けと法務求人のサイトが分かれており、両者で検索して出てきた数の合計が①と同じくらいでした)。①と違い動作がスムーズな自社の求人検索サイトも持っていますし、求職者についているコンサルタントがまとめて求人票を送ってきてくれるので、管理もしやすいです。
あとは①と比べると年収が比較的高い求人が多い気がします。ここを使って転職活動をしていたときは、30歳・年収800万(基本給+賞与、会費別)以上で求人を探していて、①ではそんな求人はほぼないといわれましたが、②では割と紹介してもらえました。ある程度の年収を維持したいのであれば、①より②を使ったほうがよいかもしれません。
外資・ベンチャー・コンサルの求人が少ないくらいしか気になるところはありません。JTCに転職したいならおすすめです。
③LHH転職エージェント
【総評】
母体が外資系の大手人材派遣企業なので、外資系の求人も割とある。①②と違うテイストの求人を見たいのであればおすすめ。
【感想】
どうでもいいですが私が利用したときはスプリング転職エージェントという名前でした。求人が送られてくる仕組み(企業ではなく求職者についているエージェントが一括で求人票を送ってくる)やコンサルタントの質がちゃんとしているところなど、テイストはほぼ②と同じです。母体がアデコというスイスの大手人材派遣企業なせいか、外資系の求人も割とあるところが①②との違いかと思います。
ここも目立った悪いところはないですが、①②と比べるとやや求人数が少ないところは気になります。実際①②と同時期に③を利用して転職活動をしたこともありますが、やはり求人数が他と比べてやや少なめに感じました。あとややハードルが高い求人が多い気がするので、企業法務に全く触れたことがないみたいな人にはフィットしないかもしれません。
④JACリクルートメント
【総評】
外資等いわゆるハイクラスの求人が多い。ある程度企業法務の経験を積んでいる人のほうがここを利用するうまみがあるかもしれない。
【感想】
ここも有名ですね。とはいえ私はここを利用して転職活動をしたことはなく、何回かキャリア相談をして求人票を送ってもらったことがあるだけです。テイストは①~③とそんなに変わりません。ハイクラス求人が多いので、ある程度企業法務の経験を積んでからここを利用するといい感じに転職できるかも。正直あまり記憶がないので、名前だけでも覚えて帰ってください!
⑤企業法務革新基盤
【総評】
差し迫った転職の必要性がある転職初心者には向かないかも。企業法務系の法律事務所については掘り出し物案件がある印象。
【感想】
たまにXで炎上しているエージェントです笑
代表の野村さんとしかお話ししたことはないのですが、野村さんはかなり視野が広く様々な情報を持っているので、今後のマーケットはどうなるか?CLOってどんな人がなるの?などなど大局的な相談にも強いです。そんな感じなので、野村さんに厚い信頼を寄せている経営弁護士も多く、法律事務所については掘り出し物案件がある印象です。
ただ、会社の規模が①~④と比べると小さいので、取り扱い案件に偏りがあったり案件数が少ないことは否めません(ここに限った話ではなく、規模が小さくなるとそうなるのは当たり前ですが)。また、色々ドライな感じなので、特にハイスぺでもない&差し迫った転職の必要性のある転職初心者の若者がここをメイン使いして転職活動するのは正直おすすめしません。あと、私は野村さんのことを賢くて面白くて好きだなと思っていますが、合わないというかなんかすげえ・・・意識高いな・・・となる人はいるかもしれません。
⑥Lawyer's INFO
【総評】
エージェントというよりキャリアアドバイザーという印象。四大・それに準じる事務所で働いている5年目くらいまでの若手に1番フィットしそう。
【感想】
肉弁護士がやっているエージェントです(とはいえ、肉弁護士と直接お話したことはないです)。ここを利用して転職活動をしたことはなくて、キャリア相談を一度お願いしたのと、キャリア座談会?みたいなイベントに参加したことがあるだけです。
キャリア相談の際は岩崎先生とお話をしたのですが、今後のキャリアの方向性を整理する壁打ち相手としてはかなり良かったです(めちゃくちゃ偉そうな言い方ですがこれ以上いい表現がなく・・・申し訳ありません・・・)。多数の同業後輩の相談に乗ってきたというだけあるなと思いました(やっぱり偉そう)。
ただやはりこのエージェントの強みが活きるのは、この人たちと同じ四大・準大手で働いている(いた)人たちなのだろうと思います。オンラインキャリア座談会?は、岩崎先生重松先生×参加者複数のウェビナー形式で実施されたのですが、四大に内定もらってますみたいな若者にはかなり実践的というか良いアドバイスをされていました。良くも悪くもエージェントというより、自分よりキャリアを積んだ先輩の域を出ない印象ではあります(それがここの売りなのですが)。あと、キャリア相談時に、参考までにいくつか求人をお送りしますねと言われたのですが、半年ほどたった今も来ていません笑 転職を検討しているわけではないので別にいいのですが、ほかのエージェントでそんな扱いをされたことがなかったのでちょっとびっくりしました。
おまけ・その他お役立ちツール等
①OpenWork
企業の口コミは見る必要ないですが、企業からのダイレクトスカウト機能や掲載されている求人情報が謎に良質です。このツールメインで転職活動するのはおすすめしませんが、関心のある方は一度登録してみるといいのではないでしょうか。
②OpenMoney
各企業の年収に関する口コミサイトです。企業によっては、各職位とそれに対応する待遇、昇進のペースについても記載されています。これまで自分が在籍してきた企業の口コミを見ましたが、かなり正確な情報が記載されていると感じました。企業に直接応募するときに、自分の待遇を予想するのに使っていました。
③転職会議
直接応募した企業の面接を受けるときに、面接でどんなことが聞かれるかを確認するのに使っていました。
④SPI
いにしえのロー入試における適性検査みたいなもの。企業によっては受検を義務付けられることもあります(体感1~2割って感じです)。受検が必要になったら、無料アプリ等で一度解いてみる程度でいいと思います。中途採用者においてはよっぽどやばい人がいれば切る、くらいの意味しかないと思うので。
⑤業界に関する本
気になる業界についてはネットで情報収集してもいいとは思いますが、やはり1冊本としてまとまっているものがあると安心。思想の偏りもなくとっつきやすいので、私は業界の動向とからくりがよくわかるシリーズがお気に入りです。最初の1冊としておすすめです。
⑥LinkedIn
ビジネス版フェイスブックといった感じのSNSです。ある程度企業法務の経験を積んだ人&外資系企業に転職したい人は、LinkedInに登録して、そこから接触してきたエージェントや企業に転職しているイメージがあります。しかし有象無象から連絡が来るので、差し迫った転職の必要がある&転職したことがない人の転職活動には向かないかもしれません。
⑦若手法曹の転職一問一答
インハウス界のスターこと渡部先生が作成されているものです。渡部先生が外資系のインハウスをされていてかなりキャリアを積まれている点や、情報が結構古い点には注意する必要がありますが、それを差し引いても有益な資料だと思います。
あとは四季報とか有報を読めとかTOEICの点数を上げろとか色々定番のツールはありますが、そういうのは検索すれば出てくるので割愛します!
さいごに
本稿をきっかけに、他にこんなのもあるよ、とかここは意外とこんな感じだったよ、といった意見交換が活発になされることを願っています。
転職自体は万人に勧められるものではないですが、転職活動はみんな(特にアラサー以下の人たち、うちらは多分70歳くらいまで働かされるでしょうし…)一度はやってみたほうがいいと思います。いい転職先が見つかることもあれば、逆に今の仕事の良さを再確認して現職への忠誠心が高まる、なんてこともあるでしょう。職務経歴書を作るだけでも、これまで自分が何をしてきたかの振り返りになり、学びが多いと思います。
明日はMasatshi Adachiさんです!